始業と終業時間:何時がありがたい?

この度新しくベトナムで会社を設立しました。現在就業時間を検討中ですが、ベトナムでは8:00-17:00の会社が多いと聞いています。やはりその時間帯がベトナム人にとって働きやすいのでしょうか?

働きやすい時間帯は労働者の生活環境によって変わってくるのは言うまでもないですが、この時間帯の会社が多いのはそれなりに社会的な理由が考えられます。

ベトナムでは始業時間が8:00という会社は多いです。日本での一般的な会社と比べると1時間早いと感じるものですが、朝が早いと大変だろうということで8:30や9:00を始業時間として定めている日系企業も珍しくありません。ベトナム人のライフスタイルを考えたときにどのような就業時間がありがたいのか、今回は弊社のベトナム人登録者にインタビューした結果と所感について紹介します。

やはりスタンダードは「8:00-17:00」

就業時間の理想を聞くと、独身か家庭持ちかで異なる結果となります。独身は始業と終業で1時間前後程度の差は特に気にならず、8:00~18:00に収まる時間帯であれば問題ないとのことです。ただ独身者は比較的終業時間が気になるようで、

「仕事終わりで友人に会う場合などで、時間を合わせにくいのは困る。」

「夜はスクールに通っているので、その開始時間に間に合わないような時間は働きにくい。」

といった声が聞かれました。とりあえず夜の時間帯の活動に妨げがないか、というところが大きな関心事のように思われます。

一方既婚者ではやはり家庭環境(子ども)についての声が聞かれます。理想は「8:00-17:00」とし、子どもの学校関係を主な理由として挙げています。

「朝、子どもを学校へ送って出社するのに8:00からがちょうどいい。」

「就業時間が18:00だと子どもを迎えにいけない。」

「18:00に仕事から帰って家のことをするのは大変。」

このように既婚者で子どもが小さい家庭では8:00-17:00の時間帯が一番無難という結果となりました。

日本人にとって盲点になりやすい点

ベトナムローカルで子育てなどをしていない限り、ベトナム人の家庭環境や教育事情に触れる機会は中々ありません。なのでそういった観点で就業時間について考える視点も無くしがちになるのですが、既婚者で小さい子どもがいる家庭では、なぜ「8:00-17:00」がありがたいのかについてもう少し掘り下げてみます。

夫婦共働きが普通・核家族の増加

ベトナムでは夫婦フルタイムの共働きが普通ですが、都会を筆頭に核家族化も進んでいます。もし夫婦どちらかの両親が同居しているなどであれば、家事・子育てに関する就業時間の問題はほぼ全て解決できます。ただそういった存在がいない家庭では、さきほど書いたように子どもの送り迎えや、家事などの問題は全て夫・妻だけでやっていかなければなりません。

ベトナムの幼稚園・学校

ベトナムの学校は朝7:30から始まるところが多く、日本のような徒歩による集団登校のシステムは存在しません。またご存知の通り交通事情も悪いので幼い小学生が自力で登下校するのは難しい社会です。単に交通事故などのリスクだけではなく、誘拐などの発生も日本と比べると高いので大人が子どもを迎えに学校まで行く必要があります。なので大抵の親は子どもを7:30までに学校に送り、その足でそのまま出社すると時間的に丁度いいのが8:00始業となるわけです。

一方帰りも迎える必要がある場合、17:00終業ではそれほど問題にはなりませんが、18:00終業となると迎えの時間に間に合わないことになります。幼稚園などは18:00を超えた場合は延長料金が発生するなどのところもありますので、それは避けたい保護者も多いかと思われます。

帰宅後の家事問題

仮に17:00に仕事を終えてまっすぐ帰ったとしても、通勤時間などを考慮すれば帰宅は18:00前後になるでしょうか。そこに子どもを迎えにいったり、夕食の食材を買ったりなどしているともう少し時間がプラスされることになります。食事の準備にしても日本ほど時短で用意できるものがあるわけではありませんので、それなりに時間を喰うことにもなります。仕事を終えてからこれらの作業をする場合、やはり帰宅時間で1時間の差は大きいものです。

このように小学生ぐらいまでの子どもがいる家庭では学校の時間の兼ね合いもあり、「8:00-17:00」の時間帯が一番支持がありました。両親が同居して家事や育児などを手伝わない限り、夫婦で協力してこれを分担するのは必須で、かつてのような男が家事をしないという家庭は通用しなくなってきています。ちなみに言うまでもなく未婚、既婚関係なく一番の理想の就業時間は「個々の事情に応じたフレックス制」とのことで、その辺りの時間的融通が利きやすい会社は人気となっています。

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