「出国ビザ」と言われるビザがあると聞きましたが、具体的にはどういった目的の外国人に対して発給されるのでしょうか?
名前の通り出国するためのビザとなりますが、オーバーステイや現地採用の退職者などでの発給事例が見られます。
ベトナムのビザを取得して滞在しているとあまり触れる機会のない「出国ビザ」というものがあります。今回はこの出国ビザの概要と日本人で発給される代表的な事例を紹介します。
出国ビザとは
ベトナムのあらゆる外国人は永住者を除き滞在期限が定められていますが、何かしらの事情でその期限を越えてベトナムに留まっているということがあります。ビザの期限を越えて滞在していると不法滞在となりますので、この状態ではベトナムから自由に出国することができません。
この場合入管に出頭して期限越え滞在に対する罰金を支払い、出国のための手続きを取ることになります。この出国までの期間を合法的に滞在できるものとして発給されるものが「出国ビザ」となります。このビザの有効期間は当人の置かれた状況を加味して入管が判断しますので、外国人自ら期間を希望して申請することはできません。
どういった場合に発給される?
実際に日本人が出国ビザを発給されるケースとしては以下の2つ多いかと思われます。
ビザが切れた状態での滞在が当局に知られた
期限切れビザの状態で滞在が発覚した場合、強制的な出国手続きが取られます。この場合は入管で超過滞在に対する罰金を支払った後で一定期間の出国ビザが発給されることになりますので、その期間内に出国のための各手続きや準備を完了させなければなりません。
現地採用者などが退職した場合
労働許可書とそれに紐づいたレジデンスカードを取得して働いている外国人労働者が、会社を退職した場合に申請するケースが挙げられます。ベトナムの移民法では「企業は外国人が退職した場合に出国までの調整を行う責任がある」とされています。退職に伴いレジデンスカードの取り消し処理をするとその時点で不法滞在となってしまいますので、その代わりに一定期間の滞在を猶予した出国ビザを同時申請するという流れとなります。
しかし、実務上の話では出国ビザの申請まで行っている企業は少ないです。例えばベトナム国内転職をする場合、転職先の企業で相応のビザを取得するまでは既存のレジデンスカードを使って滞在することも珍しくないですし、退職して本帰国する場合も帰国してからレジデンスカードを返却させるような方法を取っている企業もよくあります。上記のやり方でも当局に指摘を受けることは滅多にありませんので、費用や手間の事情から出国ビザを申請して帰国させるという事例はあまり見られません。
一般的に日本人は不法滞在に敏感なので、出国ビザの取得を強制的に求められるような事態になる人は少ないと思われます。また上で書いた通り退職に関する出国ビザの申請も多くはありませんので、普通にベトナムに滞在している限り、この出国ビザに触れる機会は少ないと言えるでしょう。
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