テト前の欠員補充について人材市場の動向なども含めて教えてください。
例年転職市場の動きが鈍る時期ではありますが、テト前後の入社を想定する場合は現職中でない人材が候補になってきます。
ベトナムはテト前に賞与が支給されることもあり、例年テト1か月前辺りから転職市場の動きが鈍り始めます。これによりこの時期に急な欠員が出ると人材補充が難しくなるわけですが、このような状況下ではどういった層が候補になりやすくなるでしょうか。本記事ではテト前後の入社で集まりやすい人材について解説します。
入社時期
例えば急募で入社の時期をテト前後とした場合、現職中の人材から雇用するハードルはグッと上がります。冒頭で書いた通りテト前の賞与をもらわずに辞めるというのは本音として避けたいというのが普通です。かと言ってテト明けすぐの退職となると「テト賞与をもらうため」という魂胆が見え見えなので、体裁の観点からこのタイミングの退職は避けたいと考えるベトナム人は少なくありません。また現職中であれば法律上、退職を事前通知する必要があり、入社時期は内定から1カ月~1か月半程度後を希望する人が多いです。
このように雇用側がテト前後の入社に固執する場合、必然的に候補は現職中でない人材となります。現職中の人材が候補から外れる場合は単純に候補者の頭数が減ることになりますので、マッチした人材に出会える可能性は下がることになります。一方入社の時期をある程度柔軟に定められる場合は、たとえテト前と言えど通常と変わらず候補者を集められる期待が持てます。
現職中でない人材とは?
ではそれなりのスキルや経験を持っている人材で現職中ではない人材とはどういった人が多いのでしょうか?これまで見て来た中で、紹介の対象になりえる現職中でない人材は以下のような分類の人が多くなっています。
会社都合、理由による退職
会社の経営状態が悪く雇止めをされたケースです。すんなりと次の仕事が見つかるといいですが、時期によっては中々マッチした求人に当たらず、しばらく仕事を探し続けているというような方もいます。この手の人材は決まればすぐにでも働きたいという人がほとんどなので、運が良ければ優秀な人材をすぐに確保できるかもしれません。コロナ禍ではこういった方が結構たくさんいました。
日本からの帰国者
ベトナムへ本帰国するベトナム人の中には「ベトナムに帰ってからじっくり職探しをするタイプ」と、「本帰国前に帰国後の職を確保するタイプ」がいます。前者であればすぐの就業を見込めますし、募集要項が日本での就業経験などを求めるものであればマッチする確率は高くなるでしょう。後者は直接面接で会えない点と採用に至ってもベトナムに帰国するまで一定の猶予期間を希望されることが懸念と言えます。
正社員復帰希望者
何かしらの事情でしばらく正社員として働いていなかったというパターンです。分かりやすいのが産休、育児で現場から離れていたという人材で、復帰時期はいつでもOKという人が多いです。この手は基本女性なので、人事総務などバックオフィス系の募集で出会う確率が高いです。正社員として働くに当たり、多少ブランクは気になるところですが、これまでの経験や実績などを見ればどの程度期待できそうか判断できます。他にもエンジニア系であればフリーランス、また自営業などから会社員へ復帰希望というパターンもあります。このタイプの人は「安定した給与」を転職理由として掲げる人が多くなっています。
このようにテト前は人材市場が鈍くなりがちが、それでもうまくいけば良い人材に出会える可能性はあります。もしこの時期に急な欠員が出たとしても必要以上に悲観的にはならず、雇用側として妥協できる点を整理して採用活動に当たればマッチした人材を見つけられるでしょう。