フルリモートワークの外国人を採用する場合

弊社はハノイが拠点ですが、ホーチミン市にいる日本人をリモートワークで採用したいと思っています。この場合労働許可書はどちらの都市で申請しますか?

労働許可書は企業がある所在地で申請する必要がありますが、外国人のリモートワーク就業についてはまだ法的に未整備な点が見られます。

コロナ禍を経て業界によっては出社することなく完全なリモートワークのみでの雇用も見られます。採用がベトナム人であれば特に問題はないのですが、外国人の場合は労働許可書やビザの類はどうなるのでしょうか?本記事ではそれらの点について現状を紹介します。

リモートワークで採用したいと思うケース

外国人をフルリモートワークで採用したいと思うケースとしてどのようなパターンが想定できるでしょうか。これまで相談があった件を例にあげてみたいと思います。

ケース1:拠点がないエリアで営業を強化したい

例えばハノイにオフィスがあるがホーチミンにはオフィスがない場合において、ホーチミンにいる外国人に営業をコミットしてほしいケース。拠点はなく自宅と相手先企業を軸に営業活動を行ってほしい、など。

ケース2:リモートでできる仕事をベトナム全土にいる外国人から募集したい

拠点はハノイだけだが、どこにいてもフルリモートで完結する業務。特殊なスキルが必要で拠点がある地域だけで募集するには母数が限られる。そこでベトナム全土にいる外国人を対象に募集&採用をして、業務にあたってほしいケース。

コスト面を考えての合理化、人材の獲得間口を広げる目論見など、フルリモートで業務を完結できる業務の場合はこのようなニーズがこれからも出てくるのではと思われます。

リモートワークでの採用でWPは取れる?

上で述べたようなケースにおいて自社の拠点がないところで欲しい人材が現れたとします。ではその人材はフルリモートワークでWPとTRCが取れるのでしょうか。

まず労働許可書は企業の拠点が登録されている地域を管轄している労働局で申請をしなければなりません。ですのでハノイにだけ拠点がある場合に採用したい人材がホーチミン市にいるからといってホーチミン市側で申請するということは不可となります。一方ホーチミン市にいる人材をハノイの労働局で申請できるかですが、これも実質不可と言えます。というのも労働許可書には就業場所が拠点の住所で明記されるのですが、当人がホーチミン市に住んでいるにも関わらず就業場所がハノイというのは合理性がなく、却下の対象となるからです。(これついて、例えばハノイとハイフォンと言った微妙な距離の場合はどうなのか、というのは議論の余地があるところかと思います。)

またその後に続くレジデンスカードの申請も居住登録のある地域の入管で行うわけですが、これは通常労働許可書に紐ずいて行われるので、ハノイでの労働許可書ではホーチミン市でのTRCの発行は下りないと考えられます。つまり会社のある拠点地域での居住登録がなければ労働許可書、レジデンスカードの申請は難しいと考えるべきでしょう。

今後の法改正に期待

リモートワークという働き方自体がまだまだ新しいものなので、現行法はこういった事例を想定されずに制定されています。ただ今後このような需要が広がり、各方面からの声が上がればそれに対応する法改正が将来的に実施される可能性は十分ありえるかと思います。またベトナム人労働者でもリモートワークに関する労務問題は相応にありますので、新しい働き方としてこの辺りの法整備が今後進んでいくことも大いに期待できるのではないでしょうか。

Facebook
Twitter
LinkedIn
Pocket
Email

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA