ベトナム人は上司が自分よりも年下であるということは気にする気質でしょうか?
年齢による上下関係の概念はありますが、仕事についてはまた違った感覚を持っている人が多いようです。
採用を検討する際に今いるベトナム人スタッフの下に就く人材を募集する場合、そのスタッフより年下の人材に焦点を当てて募集を行う企業が多いです。しかし実際のところ年下上司、年上部下というのは上手くいきにくいものでしょうか。今回はベトナム人の年上上司に関する考え方を紹介します。
登録者にアンケートを取ってみました
弊社に登録している30代のベトナム人20名(男7名:女13名)に以下のようなアンケートを取ってみました。
(*全員オフィスワーカーの経歴です。)
上司が自分より年下だと気になりますか?
Yes:4名(男2名:女2名)
No:16名(男5名:女11名)
気にしないという人が多数派になりました。アンケートを取る前から何となくこういった結果になることは予想していましたが、Yes、Noそれぞれの考えについて以下のようなことが聞かれました。
Yesと答えた方たちの意見
・「上司が自分に対して微妙に遠慮するような部分が見え隠れするのがツライ」
・「自分より年下上司の下で働くのは何となくカッコ悪い」
・「これまで上司が年下の環境で働いたことがない」
割合的には男性のほうが多く若干プライドを臭わせる感じがありますが、言ってることは理解できますし、私も同じ立場なら似たように感じるかもしれません。
Noと答えた方たちの意見
・「社歴が自分より長い人であれば気にしない」
・「ベトナムではよくあることだから」
・「自分のスキルや経験が相手より下回っているのであれば当然」
・「会社では年齢と職位は必ずしも一致するものではないから」
・「仕事中では上司でも、仕事外では年上として然るべき応対をしてくれる人なら大丈夫」
一般的にベトナム人は自分の上司に対して年齢よりもその会社の在籍年数や職務経験年数を重視するようで、年上の上司であることに抵抗を感じない方が多いようです。ベトナムのローカル企業でも一部の従業員が社長より年上という会社もありますし、上司が部下よりも年下という会社は普通にあります。
「会社では年齢と職位は必ずしも一致するものではないから」の意見はなるほど、と思いました。公務員や軍隊では年齢に応じた階級制度を取っており、必然的に上司は年上という構図になりやすいものです。しかし民間の会社はこれらとは別物と考えていることが窺えます。
年上部下を採用することになりそうな場合
企業側が求める人材が見つかったときに、上司部下の年齢だけで見送るのは少し惜しい気もします。もし前向きに検討したいと考える場合は、その人材に「採用されると年下が上司になるが大丈夫か?」ということと、上司に「新しい人材は年上部下にかるかもしれないが大丈夫か?」ということを双方に事前確認しておいたほうが無難でしょう。
とは言ってもこれを聞かれてストレートに「それは無理です」と答えるベトナム人は少ないと思いますので、そこは担当の日本人がその人材と上司の反りが合いそうかを判断する必要が少なからず出てきます。自信がない場合は採用を決定する前に一度その二人が直接話をする機会を設けるのも一考です。
日本でも年下上司が一般的になりつつありますが、まだまだ絶対数が少ないのでそういった人員体制になるのを避けたがる人は多いものです。しかしベトナム社会ではこういった年齢関係でも上手くやっている会社はたくさんありますので、あまりそこに拘りすぎる必要もないかと思われます。