ベトナム人が「ストレス」を表現するときに使う言葉が何通りかあると聞いたんですが、どういったものがあるんでしょうか?
本人が抱えているストレスの種類や程度で使い分けるケースがあり、そこに耳を傾けるとその人が何に対してどんなストレスを感じているのかをより理解できることがあります。
同じことに対してでもストレスの感じ方、程度は人によって異なりますが、ベトナム人は日本人よりも仕事を通じて受けるストレスの忌避傾向が高く、ストレスフルな職場は必然的に離職率が上がってしまいます。今回はベトナム語から見るベトナム人のストレス表現について解説します。
ストレスに当たる表現でよく使われる言葉
仕事環境のストレスについてベトナム語で話をしますと、以下の3つ単語がよく登場します。一つは「xì trét(シーチェット)」、もう一つは「căng thẳng(カンタン) 」そして「áp lực(アップルク)」です。各単語の定義を簡単に説明すると以下のようになります。
・xì trét (シーチェット):英語のStressに語源があり、程度は軽めから重めまで様々。
・căng thẳng(カンタン):直訳は「緊張」。張り詰めた雰囲気などの場面でよく使われる。
・áp lực(アップルク): 直訳は「圧力、プレッシャー」。上司との人間関係でよく使われることも。
英語や日本語でベトナム人と話すとストレスを「Stress」または「ストレス」で一緒くたにされて言われやすいですが、ベトナム語で聞いてみると3つの単語を使い分けることがあり、より細かく相手の心理状況を汲むことができます。
「xì trét」は大して深刻なレベルではないことに使われることも多く、一時的なストレス状況下で「xì trét quá」と笑いながら話されることもよくあります。一方上に書いた 「căng thẳng」や「áp lực」は深刻なレベルであることが多く、これらの蓄積による「ストレス」は退職の可能性が高まります。この言葉が頻繁に出ているようであれば少し注意が必要で、できれば相談に乗るなどのケアが必要かもしれません。
できればストレスの要因を洗い出したいところ
ベトナム人求職者との面談で退職理由がストレスから来るものであった場合、「áp lực」の表現がよく聞かれます。特に上司からのプレッシャーとして語られることが多く、同じような内容で離職者が多数出ている職場の場合は改善の余地があると言えます。退職者が会社を去る時に本当の理由を言って辞めるのかは微妙なところですが、もし「ストレス」を退職理由として挙げていた場合、残っている従業員も同様のストレスを感じてはいないか考えてみる価値はあります。
ベトナムではストレスは「耐えるもの」ではなく「除去すべきもの」という意識が強く、退職も「除去」するための手段の一つです。逆を言えばストレスが低い職場はそれだけ定着の割合も上がりやすいとも言えます。仕事に対してノンストレスを求めるのは個人的にどうかと思いますが、もしストレスフルな環境が人為的な理由で発生しているのであれば、改善できる点は改善したいところです。