初めてベトナム語を学ぶに当たり、やはりネイティブが教えてくれるような教室に通ったほうが習得が早いのでしょうか?
個人に応じた向き不向きがありますので、教室に通うメリット・デメリットを見て決めてください。また必ずしもネイティブに教わるのがベストだとは決めつけないほうがいいかと思います。
最近のベトナムでは日本人向けに特化したベトナム語教室のようなものもよく見られ、ベトナム語の学習環境も整備されてきました。ここで考えるのが教室に通うべきか、自分で学ぶべきかという問題。ベトナム在住者はどちらの選択もありだと考えますが、今回はこれからベトナム語学び始める方目線で私見を述べていきます。
教室に通うか、自分で学ぶか?
ベトナムで教室に通う一番のメリットはプロのネイティブ講師が直接指導してくれることかと思います。日本語堪能なベトナム人講師が日本語で教えてくれる教室もあるので、言葉に不安があってもその辺りを気にせず学ぶことができます。また個人に合わせたレベルのカリキュラムが予め組まれているので、自分で学習計画を立てる必要がないのも教室に通うメリットの一つです。
一方デメリットとしては費用や通う手間が挙げられ、集団レッスンであれば自分のペースで学べないといったところもあります。またこの手の教室は習得するかどうかは個人に委ねられる(つまり習得できていなくても教室側の責任は問われない)ので、当人の意識が低ければただ通うだけとなり、修了後は時間が経って忘れて終わり、というケースに陥ることも十分ありえます。
またネイティブに学んだほうが習得が早いのかという点ですが、大人が外国語を学ぶ初期の頃はむしろそんなことはなく、文法など理論の部分については自分と同じ母国語の人から教わる方が習得が早いというのが言語教育界での共通認識となっています。
自学の場合の教材選び
自分で学ぶ場合は教材が必要となります。基礎レベルであれば日本で売られている市販の教材を使えばいいでしょう。昔と比べて基礎レベルのベトナム語教材は日本でも増えましたし、内容も洗練されてきていますので、自分が使いやすそうなものを選べばいいかと思います。ただ個人的には変にキャッチーなフレーズが入ったタイトルのもの(超簡単、短期間でマスター、など)は内容が薄く、表面的なものが多いのでお勧めしません。しっかりとした解説があって音声付きのものを選びたいところです。
またベトナム現地で売られている教材は解説がベトナム語または英語のものしかなく、構成が自学自習用向けになっていないので初心者のうちはお勧めしません。既に内容を理解している前提で確認のために使用する、といった使い方のほうが有効です。
とりあえず初期の頃はこれと決めた教材で解説されている文法と語彙を全て頭に入れるような取り組みで間違いないでしょう。この時点では実地訓練(ベトナム人と生でやり取り)をしなくてもいいぐらいで、ベトナムに住んでいたとしても「座学8実地2」ぐらいの割合でも十分かと思います。
実地訓練
ある程度学習が進むと自分のベトナム語がどの程度伝わるか気になるものです。いきなりその辺のベトナム人と世間話をするのはハードルが高すぎるので、ベトナムに住んでいるのなら各シチュエーションに沿ったベトナム人に相手をしてもらいましょう。以下に例を挙げます。
タクシー運転手
Grabなど最初から行先が分かっているのを除き、タクシー運転手は発音力を試す良い機会となります。基本的にタクシー運転手は相手から行先や移動に関する言葉が出てくることを想定した耳になっていますので、多少崩れた発音であっても聞き取ってもらいやすいです。発音しにくい通りの名前などを1回で聞き取ってもらえることを目標に日々やり取りをしてますと、日々発音を改善させていくきっかけにもなります。お金や数字のやり取りも必然的に出てきますので、初期の頃はその点についての慣れにも活用できます。
職場のスタッフ
職場スタッフは格好の練習相手になります。ただ語学練習で業務効率が下がっては本末転倒なので、特定の場面だけベトナム語のやり取りをするという方法もあります。例えば私の場合、初期の頃はアドミン相手にルーティン作業の時だけベトナム語でやり取りをする、というようなことをしていました。ルーティン作業では使う単語やフレーズがいつも似たりよったりのものだったので、やりやすかったのを覚えています。ただ同じスタッフ相手ばかりだと、自分が話すベトナム語に免疫がついてくるので、その人には伝わるが他の人には伝わらない、というような事態を招くことがあるので注意が必要です。
SNSのDM
Zaloやフェイスブックのようなチャットも有効です。発音の改善には役に立ちませんが相手が話していることにすぐ言葉を返すキャッチボールの訓練には絶好となります。また互いに発する言葉が可視化されるので理解しやすく、その文章から自分のレベルに合わせた言い回しを相手がしてくれることも期待できます。覚えた単語や文法、言い回しを定着させる手段としては大いに活用したいところで、他にもベトナム語のキーボード入力を覚えるという付随的な効果も得られます。
以上、3編にわたってベトナム語を初めて学ぶ方向けの記事を書いてきました。ベトナム語を学ぶ最終的なゴールをベトナム人との会話とすれば最初のハードルが高い言語ではありますが、「ベトナム語が話せる外国人」に対するベトナム人の反応は特別なものがありますので、特にベトナム人と日頃接する機会のある方にとっては努力の価値がある取り組みかと思います。
ちなみに個人的感覚ですが、外国人が話す拙いベトナム語は何かしらの外国語が分かるベトナム人のほうが理解されやすい気がします。またどちらかというと男性より女性のほうがその辺りの能力に長けていると感じています。