社内で従業員同士がギャンブルをしていたことが発覚し、企業秩序維持のため懲戒処分を検討しています。就業規則に「ギャンブル禁止」などの旨は記載していないのですが、懲戒処分は可能でしょうか?
ギャンブルは懲戒処分対象の具体的な行為として労働法に明記されていますので、懲戒処分が可能となっています。
男性を中心に個人間でのギャンブル行為がよく見られるベトナム。場合によっては職場や仕事仲間と一緒にそういった行為に至るケースも想像されます。もしそのようなケースに遭遇して処分を検討する場合、どのような扱いができるでしょうか。今回はギャンブル行為に対する懲戒処分とその考え方について紹介します。
職場内でのギャンブル行為
労働規律処分は軽いものから順に①「譴責」➁「6 か月を超えない昇給期間の延長」➂「免職」④「解雇」と労働法124条に定められています。そのうちギャンブルについては④「解雇」による処分規律が適用される形式に指定されています。
Hành vi Trộm cắp, Tham ô, Đánh bạc, Sử dụng ma túy tại nơi làm việc: Người lao động thực hiện những hành vi này sẽ đối mặt với hình thức xử lý kỷ luật sa thải.(労働者が職場で,窃盗,横領51,賭博,故意に基づく傷害の惹起,麻薬の使用)
労働法125条1項
ギャンブル行為は企業活動上のみならず、社会的にも禁じられている行為ですので懲戒処分上最も重い罰が適応され、就業規則に具体的な記載がない場合でも懲戒解雇が可能となっています。またそれ以外の免職などといった懲戒処分も検討できる範囲となります。
よくある勘違い
ギャンブル行為に限らず何かしらの懲戒処分をするに当たり、「減給」や「罰金」処分が頭に浮かぶ方も多いかと思います。しかしベトナムの労働法では労働者の懲戒処分に対し、「減給」や「罰金」処分は認められていません。
Các hành vi bị nghiêm cấm khi xử lý kỷ luật lao động(労働規律処分の際に厳禁される行為)
2. Phạt tiền, cắt lương thay việc xử lý kỷ luật lao động.(労働規律処分に代えて,罰金,賃金カットを行う。)
労働法127条2項
したがって懲戒処分に代わってこれらの制裁をした場合は違法となり、実行した場合には2000万~4000万VNDの罰金を科せられることとなります。(Nghị định 12/2022/NĐ-CP19条)
因みに日本では懲戒処分による減給制裁が認められており(労働基準法91条)、公務員の不祥事による減給制裁などがニュースなどで流れることもあるため、比較的馴染みのある処分形式となっています。この感覚をそのままベトナムに当てはめてしまうと上で書いた通り違法な処分となってしまいますのでご注意ください。