停電により作業にならないので2日間会社を休業としました。その場合従業員の給与はどのように計算されるのでしょうか?
今回のケースでは最低賃金額以上の額を労使で決めて支払う必要があります。
今年の夏は停電による大きな影響が各地に発生していますが、特に北部の電力不足は深刻なものとなっています。電気がなければ仕事ができないということで会社を休業にするところもあると思いますが、この場合の従業員の給料はどうなるのでしょうか?今回は停電による休業の給与保障について解説します。
停電による休業は不可抗力?
今回のような停電により業務不能となる事態は使用者にとって不可抗力の事態ですので、直接的に使用者側の過失はないと言えます。使用者の過失によらない停電による休業については労働法第99条(休業時の賃金)3項に規定されていますのでそちらを見てみましょう。
3. Nếu vì sự cố về điện, nước mà không do lỗi của người sử dụng lao động hoặc do thiên tai, hỏa hoạn, dịch bệnh nguy hiểm, địch họa, di dời địa điểm hoạt động theo yêu cầu của cơ quan nhà nước có thẩm quyền hoặc vì lý do kinh tế thì hai bên thỏa thuận về tiền lương ngừng việc như sau:(使用者の過失に依らない停電、断水、自然災害、火災、危険な疫病、権限を有する国家機関の要求に従った損害、活動場所の移動、または経済的理由による場合は、両当事者は以下のように休業時の賃金を合意する)
a) Trường hợp ngừng việc từ 14 ngày làm việc trở xuống thì tiền lương ngừng việc được thỏa thuận không thấp hơn mức lương tối thiểu;(休業が14営業日以下の場合、休業時の賃金は合意によるが最低賃金を下回ってはいけない。)
b) Trường hợp phải ngừng việc trên 14 ngày làm việc thì tiền lương ngừng việc do hai bên thỏa thuận nhưng phải bảo đảm tiền lương ngừng việc trong 14 ngày đầu tiên không thấp hơn mức lương tối thiểu.(休業が14営業日を超える場合は、休業時の賃金は合意によるが、当初の14日間については最低賃金を下回らないことを保証しなければならない。)
労働法第99条3項
つまり使用者に過失のない停電による休業であっても、最低14日間は従業員に対して最低賃金額以上の額を給与として保証する義務があり、その限度以上の額で具体的な金額をいくらにするかは労働者との合意が必要ということになります。
因みに上記の条件による停電でリモートワークを命令した場合は、もちろん通常通り100%の賃金を支払わなければなりません。
年次有給休暇を充てた場合は?
停電による休業をするに当たり、使用者が労働者に対して休業期間に年次有給休暇を取得するような指示をすることはできません。年次有給休暇は労働者の権利であり、あくまで労働者が希望する日で取得することが原則です。使用者側の都合による年次有給休暇の取得依頼についてもあくまで労働者の合意が前提となります。
では労働者が休業期間中に年次有給休暇の取得を希望した場合はどうなるでしょうか?目論見としては休業により給与が少なくなることを避けるために、100%給与が支払われる年次有給休暇を取りたいと思うケースが考えられます。
ただ年次有給休暇とは「労働の義務がある日に100%の給与が保証されて休むことができる権利」ですので、既に休業が確定(つまり労働の義務がない)している場合は年次有給休暇を取得する余地がないと考えられます。したがってこのケースでは年次有給休暇の申請もできないということになります。
一方休業が確定する前に年次有給休暇を申請、取得予定していた場合はどうでしょうか?この場合労働者は事前に労働の義務がある日に申請していますので、通常通り年次有給休暇を取得できる権利があり、それが休業期間と重なったとしても100%給与を保証する義務があると解釈できます。当初の予定通り年次有給休暇を取得するか、あるいは同法99条の休業としての扱いを受けるかをその時に労使で話し合って決めていく流れとなります。
今回のような停電のケースでは使用者に過失がなくても労働者に一定額以上の給与を保証しなければならない規定となっています。逆に使用者に過失がある場合の停電での休業であれば通常通り100%の賃金を保証しなければなりません。