公共の場における振る舞い

ここ1か月辺りでベトナム人の公の場での行動のについて立て続けに考えることがありました。今回は番外編として3つの事例について感じたことを書いていきたいと思います。

交通罰金額の改定

2025年1月1日から施行された交通法改正により罰金額がかなり引き上げられました。主な違反に対する罰金額は以下の通りとなります。

信号無視:80万~100万VND→400万~600万VND
・運転資格のない者に車両を引き渡す行為:60万~80万VND→800万~1000万VND
・蛇行運転:600万~800万VND→800万~1000万VND
・一方通行道路の逆走:100万~200万VND→400万~600万VND
・飲酒運転(血中アルコール濃度100ml中50~80mg/呼気1l中アルコール濃度0.25~0.4mg)
 400万~500万VND→600万~800万VND
・飲酒運転(血中アルコール濃度100ml中80mg超/呼気1l中アルコール濃度0.4mg超) 
 600万~800万VND→同800万~1000万VND

自分でバイクや車を運転する人は気を付ける必要がありますが、日本の交通モラル基準で運転してれば正直どれもビビるような違反内容ではないかと思われます。信号無視とか逆走は「なんでいつも捕まらないのかな?」と傍から見て思ってましたが、改正後はカメラなどで証拠を押さえて警察から通知がくるこということで、現行犯でなくても捕まえられるようなシステムを導入したそうです。

また信号無視の罰金額が5倍以上になっているのが興味深いです。ベトナムでは車両(特にバイク)を運転する人の信号無視はよく見られますが、この改正以降、警察のいる可能性が高い主要道路での信号無視がすっかりなくなったようです。

結局手っ取り早く順守させるには取り締まりを強化するというよりも罰金額の引き上げが一番効果があるのでしょう。職場や居住区で規律を守らせるための手段として「罰金」の提案が出やすいのも頷けます。

ホーチミン市のメトロ開通

https://laodong.vn/photo/ngam-nhin-nha-ga-ngam-trung-tam-tphcm-ket-noi-4-tuyen-metro-1337470.ldo

北も南も通勤の足として使うのまだまだ厳しい?(Ngắm nhìn nhà ga ngầm trung tâm TPHCM kết nối 4 tuyến metro)

2024年12月22日にホーチミン市でメトロが開通しました。それに先立つ2021年11月にハノイでも高架鉄道が開通していますが、ハノイはまだ地下の鉄道走行はないため今回初めてベトナムで地下鉄が走ったことになります。開通と同時に物珍しさから人が殺到したそうですが、乗客のモラルが取り上げられていました。ベトジョーに掲載されていた記事によると、マナー違反な写真撮影、飲食物持ち込み規則違反、ホームでのペット放し、トイレをシャワールームのように利用する行為などが書かれていました。

写真撮影は物珍しさ、SNS受けなどを狙ってそういう行為に走るのは容易に想像つきます。飲食物の持ち込みは多少目をつぶってもいい気はしますが、飲み食いをした後に汚れる可能性が日本と比べて高いので仕方がない気もします。またベトナムでも都市部を筆頭にペットの概念がだいぶ根付きましたが、日本の感覚的に「こんなところにペットを連れてくるなよ。」と思う場面に遭遇することがよくあります。レストランにペットを連れて来たものの、他の客の子ども達のおもちゃにされて飼い主がキレるという、カオスな場面も見たことがあります。そしてトイレをシャワールーム、、、ちょっとよく分かりませんが手洗い場で歯を磨くとか洗濯でもしてたんですかね。。。

公共の乗り物というとバスがその比較対象となりそうですが、日頃私が利用する中ではそれほどモラルに反したような乗客を見る機会がありません。そもそもバスは近距離でも長距離でも常に近くに乗務員がいますので、迷惑行為をすればすぐ注意されるという側面もあります。またベトナム人にとっても既に馴染み深い乗り物なので、何がマナーに反するかというのを理解している人が大半かと思われます。そういった意味で電車についてはその辺りがまだ理解できていないということで、時間経過に応じて改善されていくのでは?というのが私の楽観的見方です。

ベトナム優勝

どこをどう進めばゴールなのか?

(Triệu người xuống đường mừng Việt Nam vô địch)

昨年から行われていたサッカーの東南アジア杯で1月5日にベトナムが優勝しました。ベトナムに住んでいればこれを知らない人はいないでしょう。毎度のごとく国際試合で優勝するとバイクで街をパレードします。テレビやSNSで様子を再三取り上げられますが、ノンヘルや交通違反などは普通にしています。これだけの規模でやられると警察もお手上げのようで、ただただ見守るだけになっていたようです。ただ警察も内心はベトナム優勝でテンション上がってるでしょうから、そんなときに検挙するのは野暮という心理もあるのかもしれません。こういった緩いところは今の日本では見られなくなりましたし、一つの出来事についてほとんどの国民一つになって盛り上がれるのは羨ましい気もします。

こういった社会的暴走行為について個人的には肯定も否定もしませんが、少し気になったのが日本でのベトナム人による優勝騒ぎについてです。SNSによるとベトナムが優勝した晩、日本時間の深夜12:00過ぎにベトナム人の集団が大阪の道頓堀に集まり、騒ぎながらベトナムの国旗を振っていたそうです。これについて多くのベトナム人から賛否のコメントが寄せられていました。

全体的に否定側の意見のほうが日本人的にはしっくりくるかもしれません。「そういうことは外国の公共の場でやるものじゃない」というコメントを支持するベトナム人もたくさんいました。そもそもベトナムが東南アジア杯で優勝したことをライブで知っている日本人はほとんどいないと思いますので、繁華街でベトナム人が集まって国旗を振りながら騒いでいる光景に異様さを感じた人は多くいたかと思います。仮にWBCで日本が優勝したときに、日本人がホアンキエム湖に集まって国旗を振りながら騒いでいたら、ベトナム世論はどういった反応をするのか気になりますね。

年末から年明けにかけて立て続けにベトナム人の公共の場での行動について考えることがありましたので記事にしました。マナーやモラルは10年程前と比べると全体として改善されていってるような気がします。一方で今のベトナムはその辺りの感覚がある人とない人の差が以前よりも開いているようにも感じています。

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