ベトナム人スタッフから退職願いを出されると、何となく「あれがその兆候だったのかなぁ」と思う行動があるんですが、その辺りについて典型例はあるのでしょうか?
実際に退職するスタッフの行動に注意するとありがちな行動はあります。待遇面の交渉、電話、休みの申請あたりはよくある傾向となっています。
労働法上では雇用契約の種類に基づいて退職の事前通知が義務付けられていますが、欠員補充に十分な時間を取るためできる限り従業員の入れ替わり傾向には敏感になりたいところです。退職しそうなスタッフを事前察知できればそれに応じた行動がとれるものです。今回は「転職活動中のベトナム人にありがちな行動」について紹介します。
待遇面における交渉
給与改定の時期あるいは全然関係のない時期に待遇面の交渉を受けることがあります。待遇面の交渉をするということは現状の待遇に満足していないことの表れでもあるので、希望が通らない場合は自分の求める待遇先を探す一つのきっかけにもなりやすいです。また実際のパフォーマンスを棚に上げて強気な交渉をしてくる場合は既に行先のある企業と天秤にかけられていることもあります。現職中の人材が転職先の内定を受けるかどうかについて、現職企業での待遇に関する交渉の結果次第という人も見られます。
事務所の外に出ての電話
べトナム人は日本人のように普通の電話で席を外すことはあまりなく、職場でもプライベートな電話を受けますし、周囲に内容を聞かれても気にしない人が大半です。日本人の感覚的には「そんな内容の話を職場でするなよ。」と思うことも時々ありますが、そんなベトナム人がわざわざ席を外して電話に出るのは社内の誰かに聞かれたくない内容だからです。日本人基準で見ていますと、ベトナム人にとって社内の人に聞かれたくないことはプライベートなことよりも、会社に知られたくないことのほうがウエートが高いように思われます。
不定期な休みの申請
転職活動関係で仕事を休んだり抜けることもあります。短期間に小刻みな休みの申請が出ると少し勘ぐってみてもいいでしょう。通常企業の面接は平日の稼働時間中に行われますので、現職者の場合は休みの申請をせざるをえません。内定までに複数の面接がある企業やいくつかの企業の面接を受ける場合はそれに応じて休みの申請も多くなってしまうので分かりやすいポイントです。
因みに休みの申請理由でよく使われる建前の理由は「家庭の事情 (Có việc về gia đình.)」です。一般的にベトナム社会では家族関連の事柄について優先される習慣があり、具体的な事柄に触れずに「家庭の事情」とだけ言う場合、それ以上ツッコむのは野暮のようなところもあります。休みの申請に限らず様々な場面で「家庭の事情」というフレーズは聞かれるものです。
このようにスタッフの行動にアンテナを張ってると何となく不自然な行動を取っているスタッフに気付くことがあります。少しおかしいなと思ったら本人または他のベトナム人スタッフに聞いてみるのもいいでしょう。尋ねてみると案外正直に話してくれる人も多いもので、改めて事前に話をすることで双方にとって良い方向に向かう可能性もあったりします。