病院絡みで休みを申請するベトナム人従業員の事情

病院絡みの理由で休みの申請を受けることがあるのですが、時々腑に落ちないことがあります。ベトナムのローカル病院で日本の病院と異なる点を教えてください。

ローカルの病院は日本と勝手が異なる部分が多々あるので、その点を知っておいたほうが対応しやすいかと思います。

ベトナム人従業員から病院に行くという理由で休みの申請を受けることがあります。しかし日本人の感覚では「なぜもっと早く言えないのか?」や「それは休まないといけないことなのか?」といった疑問を持つことがあります。今回は日本人にとって馴染みのないベトナムのローカル病院についてお話します。

ほとんどのベトナム人はローカル病院を利用している

ベトナム在住の日本人が病院にかかる場合、国際病院を利用している人がほとんどだと思います。国際病院であれば多少の違いはあれど基本的な部分は日本の病院と変わりませんので、若干の異文化を感じることはあれど戸惑うことはあまりないでしょう。一方ベトナム人でもそれなりに収入のある層や幼児の病気などについて、国際病院を利用する人も増えてきましたが、通常はローカルの伝統的な病院や個人のかかりつけ医院を利用している人が大半です。

そしてローカルの病院となると日本人にとって馴染みのない、また理解しがたいシステムが色々あるものです。以下で日本人にとって馴染みのないケースで従業員から比較的相談されることのある内容を2つ紹介します。

日本と仕組みが異なる病院事情

診察日時の指定は医者からの連絡で決められる

ローカル病院では医者が患者に次回の診察日時を指定することがあり、医者がかかえている患者に応じてスケジュール調整することに起因します。もし患者がこの指定された診察日に対して「その日時は都合が悪くて。。。」と言うと次回の診察がいつになるか分からないということにもなりえます。またこの診察日時を直前(前日の夜など)に告げられることも珍しくなく、こういったことから会社への申請がギリギリになるという事態が発生します。私個人の感覚では急を要しないレベルの診察ほど、この傾向が起きやすいと感じています。

事例:その日は事前に仕事で予定があると分かっているはずなのに、病院の診察で休ませてほしいと連絡があった。他の日、時間ではだめなのか??

身内の入院

入院した身内の世話で休み、休職を申し出ることがあります。日本人の感覚では「仕事前や仕事終わりに病院に顔を出せばいいのでは?」と思いがちですが、本当の意味で世話をしなければならないので顔を出すだけでは意味がありません。ローカル病院で入院する場合、病院は治療しかしませんので、食事、着替え、排せつ、入浴などの世話は身内がすることになります。これらのことは一日の中で定期的に行われることなので、常に方傍に待機していなければなりません。また冷蔵庫などもありませんので、食料の類はその時間ごとに準備をする必要があります。他に世話をする人がいない場合であれば、仕事に出ることができないということになり、通常は自身も病院に泊まり込んで世話をすることになります。

事例:夫の入院のためしばらく会社を休ませてほしいと休職願いがあった。1日、2日の休みなら分かるけど休職までしないといけないぐらい重篤な状態なのだろうか?

ローカル病院のシステムは日本の感覚をそのまま当てはめることができないところがたくさんあります。ベトナム人従業員から病院絡みで休みの申請があった場合はその辺りの事情も考慮した上で対応をしたほうが良い労使関係を築けるでしょう。

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