ベトナムは女性を祝う日が年に2回ありますが、何か違いはあるのでしょうか?
現在の慣習としては同じようなものと認識しておけばいいですが、歴史的な成り立ちに違いがあります。
3月8日は国際女性デーということで女性従業員向けにギフトを送ったり催しごとを開いたりした会社も多いのではないでしょうか。ベトナムには年に2回女性を祝う日があり毎年各地で祝われています。今回は2つの女性のための日について解説します。
国際女性デー
3月8日は「国際女性デー」としてベトナムで広く認知されています。この日は会社などでも午前中で仕事を切り上げ午後はパーティなどの催しをするところも珍しくありません。起源としては100年ほど前に遡り1975年に正式に制定されたものですが、「国際」という名の通り世界的な記念日とされています。ただ「国際女性デー」を記念日として採用している国は30か国程度で、どちらかというと東側の国に多いことから、世界的にはマイナーな記念日と言えるかもしれません。一応日本でも一部の団体では取り組みがあるようですが、世間的に認知度が低いのは皆さんの知るところです。
因みに「国際」という名前から世界共通の記念日として誤認識しているベトナム人も多く、日本でも同じように祝われていると思い込んでいます。
女性の日
10月20日は「女性の日」としてベトナムで祝われています。こちらもベトナムに住んでいれば自然と意識することになるでしょう。この「女性の日」はベトナム独自の日で、ベトナム人にとって大切な日の一つとして認識されています。歴史的には1930年に遡り、当時の「ベトナム反帝国主義女性協会」の設立日が起源とされています。反植民地主義に関する政治的な活動が起源とされていることやベトナム独自の記念日ということもあり、公官庁などでは国際女性デーよりも重きが置かれているようです。
「国際女性デー」と「女性の日」の違い
いずれも政治的な要素を起源としていますが、国際女性デーは「自国内での女性権利の改善」が根本にあるのに対し、女性の日は「ベトナム人女性の政治的権利を改善することにより植民地支配に対する抵抗力を高める」というのが根本となっています。ベトナムの独立やその後の戦争などで女性が果たした役割は広く知られているところで、この女性の日の主旨が強く反映されていることが窺えます。現在「ベトナム反帝国主義女性協会」は「ベトナム女性協会」に改名され、果たす役割は国際女性デーのものと似たような形となっています。
現在ベトナム国内におけるそれぞれの日の祝い方についても違いはなく、今の若いベトナム人にそれぞれの日の違いを聞いたとしても、「国際的」か「伝統的」ぐらいでの認識となっています。
ベトナムではバレンタインも男性から女性への日となりますので、実質年に3回女性のための日があると言えるでしょうか。一方男性のための日はないということで男性から不満が出そうな気もしますが、「日頃男は好き勝手やってるから」という理由で男女共に受け入れられているようです。