自社のベトナム人スタッフを研修目的で日本へ連れて行こうと思っていたのですが、過去の日本滞在でオーバーステイの経歴があることが発覚しました。こういった経歴があった場合、日本入国のビザを取るのは難しいのでしょうか?
審査が厳しくなるので通常よりは取りにくくなります。しかしオーバーステイ経験者でも実際に取得できている例もあるので不可能とは言えません。
研修目的でベトナム人従業員を日本に連れて行こうとする企業は珍しくありません。しかしその際にまず気になるのがビザの問題ではないでしょうか?各種条件を満たせば短期の研修ビザを取得するのは難しくありませんが、過去に日本での違法滞在経験がある場合はどうなるのでしょう。今回はオーバーステイ経験者が再度日本入国ビザを申請するケースについて紹介します。
オーバーステイとは?
オーバーステイとは不法残留とも呼ばれ、手持ちのビザ期限が切れても更新せずそのまま日本国内に留まる行為のことを指します。ベトナム人のオーバーステイでは技能実習生の失踪や留学生の不法滞在などがよく聞かれますが、大概は隠れて就労していることが多いので資格外活動としての処分対象にもなります。
このようなオーバーステイは国外退去の対象となりますが、その際に受けるペナルティの程度はオーバーステイが発覚する過程によって変わってきます。日本から退去強制や出国命令を受けた場合、日本への上陸拒否期間として1年、5年、10年の年数が科され、その期間は入国はおろかビザの申請もできないこととなります。
年数については過去の違反経歴の有無や他の余罪の有無、自ら出頭して出国の意思を示したか、などにより総合的に判断されることとなりますが、初めてのオーバーステイ且つ余罪がない場合は1年か5年の範囲に収まることが多いようです。
オーバーステイ経歴者のビザ申請
上で書いた通り上陸拒否期間中は申請ができませんので、その期間の経過後が前提となります。上陸拒否期間は本人に告げられますので通常はその期間を把握しているものですが、もし記憶が曖昧な場合はパスポートの日本出国スタンプを見ることでも確認することが可能です。オーバーステイの場合はこの出国スタンプの下に「55-3」や「52-4」といった数字が書かれています。これは入管法の条と項を表すもので、「55-3」は1年間の入国拒否、「52-4」は5年または10年の入国拒否を表します。
これらの拒否期間を経過していれば改めてビザ申請が可能となるわけですが、大使館が案内している必要書類だけで審査に通るのは難しいとされ、申請者本人による過去の違反行為に対する反省書や招聘元が作成する嘆願書などを追加書類として提出することにより審査のハードルを下げることなどもあります。これについては素人での作成は難しく専門家の助言の元に実施したほうがいいでしょう。
将来的に日本に行く可能性があるポジションを採用する場合でも日本での違反歴を採用時に調べる会社は多くないと予想されます。本人自らそのような過去を伝えてくれればベストですが、採用に響く可能性もあるので打ち明けにくいこともあるでしょう。ただビザ申請の直前になってオーバーステイ歴が発覚した場合でも、上記の条件を満たしていれば再度ビザが発給される可能性はゼロではありません。