ベトナムにおける半導体エンジニアの人材市場について教えてください。
ベトナムとしてもこれから力を入れていこうとしている分野ですので、人材市場もまだあらゆる点で流動的なものと言えます。
海外から半導体事業の投資先として徐々に注目が高まっているベトナムですが、国としてもこういった傾向を歓迎し、力を入れていく意向を示しています。実際に事業を始めるに当たり半導体に関する人材確保は避けては通れない道なわけですが、ベトナムの半導体人材は現在どのようになっているのでしょうか。
ベトナムにおける半導体事業
世界的に半導体が不足しているとして、その生産拠点は関係者にとって関心が高い事項となっています。これからの拠点国の一つとしてベトナムへの注目が徐々に高まっており、この手の話題も去年あたりからよく目に入るようになりました。現在ベトナムでは主な半導体メーカーとしてアメリカ、台湾、韓国などが挙げられますが、今後も様々なメーカーの参入が期待されています。これに応えるように国も企業誘致のために様々な政策を始めており、その中の一つに人材育成があります。
教育訓練省高等教育局長のグエン・トゥ・トゥイ准教授の話によると、現在IC設計人材の数は約5.000人で需要は年10~15%ずつ増加しているそうで、今後もこの業界における人材需要はさらに高まることが予想されています。この流れを先取りしていくためには質の高い人材を育成することが極めて重要で、多くの訓練機関がこれに向けて準備を進めています。
半導体エンジニアの出身学部といってもベトナムではあまり馴染みのない分野となりますので、新たにそれに特化した学部の創設や半導体回路設計の研修を正式に導入する予定の大学が出てきています。
今後の人材市場
では今後優秀な半導体人材を採りたいと仮定した場合にどのようになりそうか考えてみます。まずは売り手市場なのか買い手市場なのかですが、優秀な人材であれば間違いなく売り手市場になるでしょう。特に採用元が外資系企業中心であることを考えますと、人材確保のために相当な給与が設定されることも容易に想像ができます。またベトナムにおける半導体市場の拡大ペースが人材供給に追い付かないレベルで拡大していきますと、能力に見合わない待遇条件を求める人材が増えることも十分にありえます。
また優秀なエンジニアを日本で直接雇用したいというのは半導体業界に限らずどの業界にもありますが、恐らく初期の段階での優秀な半導体エンジニアはどの外資系企業からも求められるようなエリート層かと思われますので、そういった人材を日本へ呼びこむのは容易ではないと考えていたほうがいいでしょう。今後大学で創設される半導体専門学部の学生を新卒で囲い込むといった人材確保の競争も考えられます。
ちょうど昨年あたりから半導体人材に関する話題や弊社への問い合わせが増えてきました。私もこれまではあまり意識することのなかった分野でしたが、問い合わせや業界関係者の話を聞いて少しずつ情報収集に努めています。今後も半導体人材市場を注目しつつ、適宜情報発信をしていきたいと思っています。