2022年1月~4月までに面談をしたベトナム人計146名の転職理由を集計しました。本記事では統計の結果と共に退職理由傾向について自社の見解を踏まえながら解説します。
統計結果(年齢21歳~40歳、男性59名、女性87名)
1,キャリアの変更 21%
2,日本からの帰国 12%
3,会社事情(倒産、撤退、契約更新されなかった、など) 10%
4,昇進の機会がない 9%
4,労働環境(ノルマ、残業、休日出勤、出張の多さ) 9%
4,大学、専門学校などの卒業 9%
7,仕事で語学を活かす環境がない 8%
8,家庭事情(家族の病気、家族の就業反対など) 6%
9,故郷での就業希望(Uターン就職) 5%
10,通勤時間 4%
11,給与(給与が低い、昇給が無いなど) 3%
11,人間関係(同僚、上司との不仲) 3%
13,結婚、妊娠、出産 1%
14,自己育成のため 1%
各転職理由についての補足、見解
1,キャリアの変更
未経験でも応募可の求人に多い。応募職種の経験がなくても過去の職歴をどのような形で活かせそうか考えることができる人材か見るのがポイント。若い人材(25歳前後)の場合は自分に合う職種を模索ている段階の求職者も多く、地力のある優秀な人材からも応募があることも珍しくない。
2,日本からの帰国
コロナ渦により日本で足止めされていたベトナム人が多かったので2位の統計結果に。日本語学校や専門学校卒のアルバイトが大多数なのでこの層は職歴を求めると少し厳しい。通訳メインの業務などでは候補に挙がりやすい層となる。
3,会社事情(倒産、撤退、契約更新されなかった、など)
コロナの影響が見られる場合がほとんど。事業不振から給与の遅延、未払いなどを理由とした転職も見られた。
4,労働環境(ノルマ、残業、休日出勤、出張の多さ)
主に休日の業務や残業があげられる。稼働が日本側のカレンダーに併せた企業でベトナムでの祝日を休めないという退職理由もあった。日本からの出張者対応として夜の接待や日本人からのセクハラなどを挙げた女性もいた。
7,仕事で語学を活かす環境がない
日本語人材として入社したが日本人上司の帰任、方針の変更などにより仕事で語学を使う機会が減ったケース。特に職場に日本人がいなくなったことにより日本語使用の機会が激減し、自身の日本語力低下を危惧して転職に踏み切る求職者が目立つ。
8,家庭事情(家族の病気、家族の就業反対など)
女性が多数。特に子どもがいる家庭では残業が多い会社や土曜日出勤の会社に勤めている人からこの理由を聞くことが多い。
10,通勤時間
主に市内から郊外、近隣省まで会社送迎で通っている人に多い。往復の通勤時間(3時間前後)をもっと有効に使えるのではないかと考えるようになる。因みに市内勤務でも通勤時間を理由に退職する人もいるが生活環境の変化などではない場合、本当の理由は別のことであることが多い。
13,結婚、妊娠、出産
統計内容が「転職理由」なので低い数値となっているが、この層は続けて転職活動をしないのでこの位置にいると思われる。「転職理由」ではなく「退職理由」とすると相当数いるはずで、適齢期の女性を採用している職場ではどこでも経験する理由となる。
本統計は業界、地域などの区別はしていないがこれらを区別して統計を取るとまた違った結果になると思われます。また今となっては主流となったリモートワークの有無もこれから仕事選びの要素になると予想され、より柔軟な労働環境を提供できる企業が人気を博すのではと考えられます。