外国人労働者専用の休日

2月11日はベトナムで働く日本人に対して休日扱いになると聞きました。これについての根拠を教えてください。

ベトナムで働く外国人労働者の祖国における建国記念日は休日とする法令がありますが、日本の同記念日については少し議論の余地がありそうです。

テトが終わり、次の祝日は陽暦4月7日のフン王記念日かと思いきや、2月11日を日本人の休日として定めている企業がいくつか見られます。この日はベトナム人にとっては普通の日ですが、なぜ日本人だけ休日扱いとなっているのでしょうか。今回は外国人向けの休日として定められている法令の解説と同件に関して専門家と意見交換した内容を紹介します。

ベトナムの祝日

現在ベトナムでは以下の日が祝日とされており、これらの日は有給で休めることが労働法112条1項で定められています。

・陽暦の正月:1 日(陽暦の1 月1 日)
・旧正月:5 日(政府の決定により5日以上になることもある)
・戦勝記念日:1 日(陽暦4 月30 日)
・国際メーデー:1 日(陽暦5 月1 日)
・建国記念日:2 日(陽暦9 月2 日とその前又は後の1 日)
・フン王記念日:1 日(陰暦3 月10 日)

これらの日はベトナム人でも外国人でも一様に祝日として扱われ、使用者はこの日に労働させると祝日に働かせる分の賃金的な補償義務を負うことになります。

一方で同条2項では外国人にのみ適用される祝日というものが定められています。

Lao động là người nước ngoài làm việc tại Việt Nam ngoài các ngày nghỉ theo quy định tại khoản 1 Điều này còn được nghỉ thêm 01 ngày Tết cổ truyền dân tộc và 01 ngày Quốc khánh của nước họ.(ベトナムで勤務する外国人労働者はこの条1項の規定に従った休日以外に、その民族の伝統的な正月に1 日、その国の建国記念日に1 日休むことができる。) 

これに照らし合わせて考えると、日本人は通常新暦の1月1日を正月としますので1月1日は休みとなるわけですが、この日はベトナムでも祝日として既に定めらています。一方日本の建国記念の日は2月11日なので、この日を日本人だけの休日として捉えることができそうです。

日本の建国記念の日とは?

ベトナムの建国記念日はフランスの植民地支配から独立宣言を行った日として、現在のベトナム社会主義共和国が建国された日という位置付けです。一方日本の建国記念の日は「建国した日」ではなく「建国をしのぶ日」とされています。日本の場合、何をもって建国とするかは諸説あり、2月11日を建国記念の日とした理由は日本書紀における神武天皇の即位日にちなんでいるようです。

ベトナム語の建国記念日(Ngày Quốc Khánh)は正に国の始まりを記念する日であり、他国の植民地支配からの独立や興国を祝う意味合いがあるため、外国人に対しても祖国の同じような日を尊重し、その日を休日と定める意図があるとされています。

この点について法律の専門家と意見交換をしたところ、上のような主旨からいくと日本の建国記念の日はこの法令が意図する記念日とは少し性格が異なるのでは?という見解でした。例えば日本が敗戦でアメリカに占領され、そこから独立したという日とかであれば分かりやすいですが、現状の日本国家の成り立ちでは建国の定義は難しいそうです。とは言うものの、日本の国家の成り立ちをベトナムが定義するわけにもいきませんので、結局は日本側がどういった判断をするかに委ねざるをえない、という結論となりました。

ということで、その日を建国の日と解釈して休日とするかはその企業のスタンスに依るということで、皆さんが所属する企業ではどのように取り扱うでしょうか?

Facebook
Twitter
LinkedIn
Pocket
Email

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA