一度退職願いを受理した従業員から撤回させてほしいと言われました。こちらとしては後任の採用も決まっていますので断りたいのですが、何か気をつけることはありますか?
従業員からの一方的な退職願いの場合、その撤回の申出を受理するかどうかは企業側の意思に委ねられます。撤回を受け入れる場合は書面による退職願い撤回の届けを要求してください。
従業員からの退職願いがあったにも関わらず撤回の申出があった場合、企業側としてはどのように対応ができるでしょうか。今回は退職願いの撤回があった際の考え方について紹介します。
退職願いの撤回があるケース
自己都合による退職願いの撤回があるケースとして一番多い理由は、何かしらの理由により転職先の内定が立ち消えになったというパターンです。自ら退職願いを出している以上、その撤回を申し出るのはバツが悪いと感じるものですが、現職との関係性が良好で退職が惜しまれるような立ち位置であった場合はそのような撤回を求めることもあるかもしれません。しかし企業側にも後任の採用など人事面での都合もありますので、いくら退職前であるとはいえ撤回を受け入れるのが難しいこともあるでしょう。
労働契約の解約を解除する手続き
労働法第38条では「労働契約の解約を解除」することについての規定が明記されています。
Mỗi bên đều có quyền hủy bỏ việc đơn phương chấm dứt hợp đồng lao động trước khi hết thời hạn báo trước nhưng phải thông báo bằng văn bản và phải được bên kia đồng ý.(いずれの当事者も事前に通知した時期における労働契約の解約を解除する権利を有するが、この場合は書面による申出と共に相手方の同意が必要となる。)
労働法第38条
つまり従業員の立場から話すと、一度提出した退職願いを撤回したい場合はその旨を書面で申し出る必要があり、それについて企業側が合意した場合にのみ撤回が認められるということになります。企業側としてはもし従業員の撤回希望を受け入れる場合、書面による撤回届の提出を求めなければなりません。
企業都合による解雇通知を撤回する場合
企業が従業員に一方的な解雇通知をできる場合として、その具体的な条件が労働法第36条1項に規定されています。これらの理由により合法的に解雇通知をしたものの、解雇する必要がなくなった場合はどのように撤回の申出をすればいいでしょうか。こちらも上述した通り、解雇通知の撤回は書面にて作成した上で該当従業員の同意を得ることにより成立します。基本的には従業員が撤回の申出をするケースと同じと考えてください。
因みに解雇通知の撤回を従業員が同意しなかった場合、その従業員はどのような取り扱いになるのでしょうか。例えば3月31日をもって解雇とする通知があった場合に、従業員が後日の撤回に同意しないで3月31日を迎えたとします。この場合は当初の解雇通知の通り、同従業員は3月31日をもって会社都合により解雇されたという扱いとなります。撤回に同意しなかったからといって自己都合による退職といった扱いとはなりません。
この退職理由については経歴上の他、失業保険の取り扱いなどにも影響を与える項目です。ですので退職にあたり同従業員から退職証明を求められた場合は、退職理由についても「会社都合による解雇」という形をとらなければなりません。
退職願いまたは解雇通知の撤回はそれほど多い事例ではなく遭遇する機会もあまりないとは思われますが、とりあえず「書面による撤回の申出」と「相手方の同意」というポイントを押さえておけば大丈夫でしょう。